こんにちは!あおぴ〜です!
以前に私は海外の介護研修に参加したことがあります!
研修先はオランダのアムステルダム郊外にある『ホグウェイ』という名前の介護施設で、認知症の方だけが入居されている施設です。
『ホグウェイ』がどのような考えで運営しているのか、日本の介護施設の改善にも繋がるお話を聞くことが出来ました。
『ホグウェイ』という施設を説明する前に、前回と引き続きオランダについて詳しく説明をしていきたいと思います。
この記事で日本とオランダの社会保障や介護事情を説明しようと思っていますので、一緒に勉強していきましょう!
👇前回の『オランダ人の価値観を徹底解説!①』を読んでいない方はこちらをどうぞ!

この記事を読めば、
- オランダの社会保障について
- オランダの年金保険制度について
- 日本とオランダの介護制度の違い
- オランダの医療制度について
を詳しく知ることができますよ!
「日本」と「オランダ」
異なる社会保障制を知ることで考えさせられる内容になっています!
そして「オランダ人の大切にしているもの」を通じて、国や社会の考え方がよく分かる内容になっていますよ!
ぜひ読んでくださいね!

日本とオランダの制度や考え方の違いが、とても勉強になるよ!
オランダの社会保障制度や教育について

オランダには充実した様々な社会保障があります。
年金負担額や消費税が高い代わりに、老後を安定して暮らせる保障が国民に与えられています。
社会保障については次の項目から説明しますね!
何と言っても、オランダは「義務教育」がほぼすべて無償!
(遠足費や学校でのリクレーション費のみは掛かります。)
オランダの義務教育は、5〜16歳という事になっています。
「公立だけが無償なんでしょう?じゃあ日本と一緒だよね〜。」
と思った方も多いことでしょう!
私立も公立も無料なんですよ!
「私立なのか公立なのか」ではないんです!
生徒や保護者にとって大事なのは「どんな教育をするのか」であり、それを国が尊重しています!
(インターナショナル・スクールは対象外なので私立は全額負担、公立は一部負担になっています。)
そして教育費無償は19世紀から続いています。
もっと驚くことは、親の学歴次第で学校への追加資金の交付もあるということです。
オランダでは親の最終学歴が低いほど、学校がもらえる交付金が増えるそうです。
親の学歴が低いほど家庭での勉強サポートが少ないと判断され、学校への負担が増えるという理由があります!
そして素晴らしいのは、親の国籍や語学力などは問われないということです!
3年連続で世界一!オランダの年金保険制度!

『3年連続で世界一』に輝いた!オランダの年金保険制度について説明します。
アメリカのコンサルティング会社のマーサーがまとめた「年金制度の国際ランキング」を基に説明していきます。
詳しくはこちらをどうぞ👉マーサー 「グローバル年金指数ランキング」(2020年度)
世界の年金制度を比較した日本の順位は、37ヵ国の中で『31位』!
日本の順位は驚くほど低いものとなっています…。
そしてオランダはというと、3年連続(2018〜2020年)で1位に輝きました。
人口約1700万人と決して大国ではありませんが、過去10年以内に1位もしくは2位になっています。
日本とオランダの年金制度の何が違う?!
オランダの年金制度が高く評価されているのは、年金制度と国民の生活が維持できていて『持続性』があるということです。
日本の年金の評価が低い要因が、この『持続性』が低いことにあります。
オランダなど上位の国に比べて、日本の制度は将来に向けて安心度がかなり低いということです。
日本の年金制度は「①国民年金」「②厚生年金」「③企業年金」の三層構造になっていて、簡単に説明します。
- 国民年金・・・すべての国民が加入する年金制度。
- 厚生年金・・・国民年金に上乗せされて給付される年金。(企業の会社員や公務員などが加入)
- 企業年金・・・企業が社員に対して年金を支給する仕組み。(退職金など)
一方、オランダも日本とほぼ同じ構造であり、「①公的年金」「②職域年金」「③個人年金」があり、三層構造です。
- 公的年金・・・AOWと言われ日本でいう国民年金。(自動的に加入)
- 職域年金・・・日本でいう厚生年金。
- 個人年金・・・生命保険などが該当。(加入するかどうかは個人の自由)
ここまでだと、ほぼ日本とオランダの違いについて分かりませんよね。
では、ここから日本とオランダとの違いと特徴を説明していきます。
1つ目の特徴は、資産(年金の基金)が財政や人口の規模から考えても、圧倒的に安定していることです。
オランダの職域年金の資産額は日本円にして、約149兆円となっています。
対して、日本の国民年金・厚生年金の資産額は日本円で、約162兆円です。
金額にしたら日本の方が上回っているように見えますよね!
ですが、日本はGDPと比べた際に30%に対し、オランダは190%に達するほど高い水準を保っています!
それほどオランダは年金基金が安定しているということを表しています。
国内総生産のことで、『国内』で生産されたものやサービスの総額。国内で儲けたお金のこと。
(青のボタンをクリック!)
- 【資産額】162兆円
- 【GDP比率】30%
- 【資産額】149兆円
- 【GDP比率】190%
2つ目の特徴は、所得代替率が非常に高いという点です。
日本はこの所得代替率がオランダに比べ低いです。
年金を受け取り始める時点の年金額と、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較した割合。
所得代替率の割合が下がるということは、年金を受け取る額も下がり、生活が苦しくなるということです。
日本の場合は62%(2020年)となっています。
そして日本の所得代替率はどんどん下がり続けています。
このまま日本の低成長が続くと、厚労省は2050年には40%台にまで数値が落ち込むという見通しも立てています。
一方オランダは、70%という高い水準で所得代替率を維持しています。
オランダで高い所得代替率を維持できている理由は、年金保険料が非常に高いためです。
(青のボタンをクリック!)
- 【所得代替率】62%
- 【年金支払額】3万7500円
- 【所得代替率】70%
- 【年金支払額】10万
3つ目の特徴は、日本でいう厚生年金に当たる「職域年金」がカバーしてくれる範囲が大きいことです。
これは公的年金だけで、月15万円ほど受け取ることが出来る計算です。
オランダでは公的年金だけでも最大で、日本円にして年間185万円を受け取ることができます。
これだけでも相当手厚いのですが、自営業者も含め、労働者の95%が職域年金に加入しているので年金制度の持続性が十分に保たれています。
ほぼすべての労働者が強制的(自動的)に職域年金に加入しています。
4つ目の特徴は、オランダでは年金保険料だけでなく、日本の消費税に当たる付加価値税も21%と高くなっています。
年金保険料や消費税が高いなど、国民の負担感は大きいです。
その代わりに、「長く」「安定して」「高い年金」を誰もがもらえる仕組みができあがっています。
(青のボタンをクリック!)
- 10%(1000円の品物が1100円)
- 21%(1000円の品物が1210円)
5つ目の特徴は、日本とオランダでは年金に対する国・企業・個人の役割分担の意識が違います。
オランダは国と企業が主体となり、年金の多くを負担します。
そして労働者にもある程度の負担と長期の勤続をしてもらい、個人も老後の準備をするという考え方が浸透しています。
日本でもオランダと同様、国と企業が年金を負担し、個人負担もあります。
ですがオランダよりも年金負担額は少ないです。
そのためオランダよりも年金の資金が少なく、年金の受け取り額が少なくなっている要因の一つと言えるでしょう。
ですが、日本は将来に不安を感じながらもまだまだ国の年金を頼りにしている方が多いように感じます。
オランダよりも年金額が低い日本こそ、オランダと同じように『個人も老後の準備をする』という考えが浸透しなければならないと思います。
6つ目の特徴は、オランダは1年でも保険料を納めれば年金を受給でき、最低10年間は保険料を納めなくてはいけない日本と比べて受給資格が優しいです。
受給開始年齢をみてみると日本は65歳からとなっていますが、現在オランダは66歳からです。
オランダでは平均寿命の延びに合わせて、年金の受給開始年齢を上げる政策がとられています。
2021年には67歳から受給開始になる予定です。
ただ、受給開始が遅くても、金額は日本の2倍近くと高額です。
日本に比べて高齢化の進行が緩やかなことも、年金制度の安定に繋がっていると言えるでしょう。
支払い可能期間 | 20〜60歳 |
受給資格期間 | 11年目から |
受給開始年齢 | 65歳 |
平均年収 | 441万円 |
月々の保険料 | 3.75万円 |
月々の受給額 | 16.6万円 |
消費税 | 10% |
支払い可能期間 | 15〜65歳 |
受給資格期間 | 1年目から |
受給開始年齢 | 66歳 |
平均年収 | 483万円 |
月々の保険料 | 10万円 |
月々の受給額 | 29万円 |
消費税 | 21% |
日本は介護保険制度があるけどオランダは?

日本には介護保険制度がありますよね。
オランダは介護保険制度がどのようになっているのでしょうか?
日本との共通点や異なる点を詳しく説明していきますね!
オランダと日本の介護保険の歴史と共通点
オランダが世界で初めての公的介護保険として1968年に「特別医療費保険」(AWBZ)を創設しました。
その後、ドイツがオランダの介護保険を参考にしました。
日本はそのドイツの手法を取り入れたとされていています。
社会保険の形態を取り入れ、認定機関を設置していることなどがオランダ・ドイツ・日本と共通しています。
そして日本と同様に、オランダの介護費は高齢者の増加と平均寿命が伸びていることを受けて増加しており、先進国最高レベルになっています。
日本よりも高齢化のペースは遅いですが、今後も高齢者が増加していき、介護給付費が一層膨らむと予想されています。
なので様々な給付抑制策に取り組んでいるところです。
オランダでは介護保険がない?!医療保険のみ!
日本では介護の保障を「介護保険」と言います。
オランダでは介護保険はなく、「医療保険」で医療・看護・介護を賄われています。
「医療保険」で賄われることで、医療・看護・介護の連携が取りやすく、障害者福祉も高齢者介護と一体的に「特別医療費保険」(AWBZ)で対応しています。
そして看護師・介護士との区別はなく、看護と介護が一体化しているのが特徴です。
看護師と介護士の線引が無い代わりに、看護師の中で5段階にレベル分けがされています。
看護師のレベル分けはどの様になっているのか詳しく説明しますね!
レベル1 ケアヘルパー
家事援助が主体
レベル2 日本の介護福祉士
身体介護が主体
レベル3 ケアワーカー
介護計画を策定できる
レベル4 看護師
看護診断・看護計画、身体介護や医療処置
レベル5〜 看護師(学士)
医療行為をほぼ専業とするレベル
レベル1~4は中等職業教育、レベル5以上が高等職業教育となっています。
そしてレベル5以上はこのような振り分けになっています。
日本では看護師と介護士で分かれているのでここまで分けられていません。
看護師のレベル分けはかなり細かく分かれており、レベル5以上では医師と同等のレベルまでの知識が必要となってきます。
介護保険がある日本は?
日本はどうでしょう?
日本では「医療と介護」が分かれており、「看護と介護」も分かれている状況です。
障害者福祉に関しても、高齢者向け介護保険とは別に「障害者総合支援法」が整備されていて、「障害者と高齢者」で分かれています。
制度を利用できる人や制度を利用できる範囲を分けることは必要ですが、制度が分かれているのを少しでも減らすことができれば円滑にサービスを受けることが出来、利用者の満足度が高まります。
例えば在宅で介護を受けている方で、訪問看護と訪問介護を同時に利用したくても、出来ないといった不都合が起きるケースがあります。(手続きをして認められた場合は利用可能。)
他にも「障害者と高齢者」で制度が分かれているため、障害者の方で介護サービスを利用したくても、基本は併用できないルールがあり、「このサービスは障害者福祉だけど、このサービスは介護給付」といったようにサービスが分かれているので利用がしにくいようになっています。
制度を少しでもまとめることで、連携や事務に必要なコストの削減ができ、結果的に制度の効率化にも繋がると思います。
他にもオランダの医療制度の凄いところ
まずオランダの医療保険を説明すると三層構造のシステムになっています。
- 特別医療費保険(強制保険)・・・日本における公的介護保険。(15歳以上のオランダに居住し課税所得がある者など)
- 短期医療保険(強制保険)・・・日本における健康保険。(18歳以上のオランダに居住する者)
- 補完保険市場(任意加入)・・・日本における民間医療保険。
オランダの医療制度の凄いところを説明します!
自己負担金制度があり、一定額を超えた医療費はすべて無料です。
例えば、ガン治療(入院手術・抗癌剤・放射線)や不妊治療も保障されています。
高額医療費の請求手続きは必要ありません。
日本にも自己負担を軽くするための「高額療養費制度」があります。
ですが一定額(自己負担限度額)を超えた場合に、その超えた金額が後で払い戻されるだけで、医療費が無料にはなりません。
日本の病院では待ち時間が長くてイライラしますよね。
ですがオランダの病院の待ち時間はほとんどありません。
予約時間になると医師が待合室まで迎えに来てくれるそうです。
そして請求書は保険会社に直接送られ、病院や薬局で会計の必要がなくスムーズです。
他にも既往歴や服薬歴が管理されているので、治療・検査をする際に、説明をする必要が無いそうですよ。
(青のボタンをクリック!)
介護保険の有無 | 介護保険あり |
看護・介護 | 看護と介護が分かれている |
医療費負担 | 3割負担(70歳以上の低所得者は1〜2割) |
高額医療費の請求手続き | 請求手続きが必要 |
待ち時間 | 平均30分〜1時間 |
既往歴・服薬の管理 | 本人の申告・お薬手帳での管理 |
介護保険の有無 | 医療保険のみ |
看護・介護 | 看護と介護が分かれていない |
医療費負担 | 無料 |
高額医療費の請求手続き | 請求手続き必要なし |
待ち時間 | 待ち時間なし |
既往歴・服薬の管理 | 病院側でされており説明する必要がない |
【日本とオランダ比較表】振り返り
これまで説明した日本とオランダの比較表です!
たくさんの情報が多すぎて忘れちゃったという方に!もう一度振り返っていきましょう〜
青いボタンを押すと切り替わるので押して比較してみてくださいね!
- 国民年金
- 厚生年金
- 企業年金
- 公的年金
- 職域年金
- 個人年金
- 【資産額】162兆円
- 【GDP比率】30%
- 【資産額】149兆円
- 【GDP比率】190%
- 62%
- 70%
支払い可能期間 | 20〜60歳 |
受給資格期間 | 11年目から |
受給開始年齢 | 65歳 |
平均年収 | 441万円 |
月々の保険料 | 3.75万円 |
月々の受給額 | 16.6万円 |
消費税 | 10% |
支払い可能期間 | 15〜65歳 |
受給資格期間 | 1年目から |
受給開始年齢 | 66歳 |
平均年収 | 483万円 |
月々の保険料 | 10万円 |
月々の受給額 | 29万円 |
消費税 | 21% |
介護保険の有無 | 介護保険あり |
看護・介護 | 看護と介護が分かれている |
医療費負担 | 3割負担(70歳以上の低所得者は1〜2割) |
高額医療費の請求手続き | 請求手続きが必要 |
待ち時間 | 平均30分〜1時間 |
既往歴・服薬の管理 | 本人の申告・お薬手帳での管理 |
介護保険の有無 | 医療保険のみ |
看護・介護 | 看護と介護が分かれていない |
医療費負担 | 無料 |
高額医療費の請求手続き | 請求手続き必要なし |
待ち時間 | 待ち時間なし |
既往歴・服薬の管理 | 病院側でされており説明する必要がない |
〜オランダの介護事情〜まとめ
オランダの社会保障は昔からの試行錯誤の上に成り立っているものだと感じます。
オランダ人の考え方『困っている人を助ける』『大切な人との時間を大切にする』という想いが国全体や社会全体に浸透しており、思いやりのある制度になっていると感じました。
まずオランダの合理的な考え方と、年金保険費用の運用の仕方は日本も見習うべきと思います。
そしてオランダは現状の介護事情に対して上手く調整しており、適応しているなという印象です。
日本の医療は薬を出せば出すほど病院が儲かるという仕組みになっており、国の医療費がどんどんかさんでしまう悪循環の制度になっています。
そこをまず見直さなければ、オランダのような合理的な医療や介護の潤沢は難しいように感じます。
オランダの医療や介護の考え方はとても勉強になるものだと思いました。
『思いやりのある社会』
日本も見習うべきところなのかも知れません。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
そして、お待たせしました!
次回は本題のオランダの『ホグウェイってどんなところ?!』で施設紹介します!
ぜひ読んでくださいね〜♪
【準備中です…】
はじめまして。
ブログ村から訪問しました。
ブログのサイドバーの「このブログに投票」をクリックしてもINポイントは発生しません。
いったいこの「投票」とはどういう意味でしょうか。
「投票」した結果はどう反映されるのでしょうか。
記事の下部にあるブログ村のバナーでは問題なくINポイントは発生します。
応援の村ぽちです。
往復でポチッ!!
介護ブログ(5,886サイト) 218位
IN 10
OUT 10
はじめまして。
ご指摘ありがとうございます。
サイドバーのブログバナーはPVポイントを計測するために設置が必要ということで、設置していました。
ですが、INポイントが発生していないということは、投票が反映されていないということなのですかね?
最近始めたところで反映の仕方が分からず、上手く連携できていないのかもしれません。
バナーを貼り直してみたので様子を見ます。
それでも反映されていないようであればもう一度調べてみます。
ご親切にありがとうございました!